相続手続きって何から始めればいいの?手続きの流れを詳しく解説
初めて相続手続きを経験する方は、多くの手続きが必要なことに戸惑い不安に感じることかと思います。また、ほとんどの手続きは期限が定められているため、優先順位を決めて早めの手続きを行う必要があります。
今回は、相続手続き全体のスケジュールとポイントを説明いたします。
相続手続きのスケジュール
7日以内 ▷
・死亡診断書の取得
・死亡届の提出
・火葬許可証・埋葬許可証の取得
10日以内 ▷
・厚生年金の年金受給者死亡届の提出
14日以内 ▷
・国民年金の年金受給者死亡届の提出
・国民健康保険の資格喪失届と保健証の返却
・介護保険の資格喪失届と介護保険者証の返却
3か月以内 ▷
●相続放棄・限定承認の申立て期限
借金など負債がある場合も、3か月以内に手続きをとらなければ単純承認をしたとみなされます。
4か月以内 ▷
・被相続人の準確定申告
10か月以内 ▷
●相続税の申告
●農地法第3条の3第1項の規定による届出
農地を相続する際は、農業委員会への届出が必要です。
3年以内 ▷
●不動産の相続登記
不動産の相続登記が義務化され、行なわない場合は10万円以下の過料を受ける可能性があります。
・生命保険の死亡保険金請求
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相続手続きのポイント
1. 死亡から埋葬まで
人が亡くなると、病院から左側が死亡届、右側が死亡診断書のA3の用紙が発行されます。
この左側の死亡届を記入して、①死亡場所 ②被相続人の本籍地 ③届出人の所在地の市区役所等 のいずれかに、死亡診断書と共に提出する必要があります。
提出期限は死亡の事実を知った日から7日(国外で死亡した場合は3か月)以内です。
なお、死亡診断書はさまざまな場面で必要になるため、10通ほどコピーしておくと再発行費用を節約できます。
死亡届と同時に遺体を火葬する許可を得るために火葬許可申請書も提出します。死亡届と火葬許可申請書が受理されると火葬許可書が交付されます。
ただし、死亡届の提出のみで火葬許可書が交付される、火葬許可申請が不要な自治体もあります。
火葬が終了すると、火葬許可証に火葬証明印が押されたものが埋葬許可証となり、墓地や霊園の管理者に提出する必要があります。
2. 行政機関の手続き
厚生年金は亡くなった日から10日以内、国民年金は14日以内に、それぞれ住所地を管轄する年金事務所・街角の年金相談センターで年金受給の停止手続きをする必要があります。
次に、健康保険に関しては、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合、亡くなった日から14日以内に市区役所などに保険証を返納します。故人が企業などにお勤めだった場合は、勤務先に連絡して資格喪失手続きをしてもらいます。
そして、被相続人が確定申告をする必要がある場合は、相続人が死亡を知ってから4か月以内に確定申告をする必要がありこれを準確定申告と呼びます。
3. 公共料金などの名義変更・解約
公共料金等の契約者が亡くなった場合、亡くなった契約者の家に住み続ける場合には、電気やガス、水道、インターネットなどの契約名義と引き落とし口座の変更、家に住み続けない場合は解約が必要となります。 携帯電話等の解約、パスポート、運転免許証などの返納も忘れずに行ってください。
4. 金融機関へ口座凍結の連絡
故人の預貯金を使い込むなどのトラブルを防止するために、死亡後なるべく早く口座を凍結する必要があります。しかし、亡くなった直後に凍結させてしまうと葬式費用や入院費用などの各種支払が滞ってしまう可能性があるので。葬祭費用・入院費用の支払の目途が立った死亡日から1ヶ月程度を目安に手続きをすることがおすすめです。
手続き方法は金融機関ごとに異なりますが、大手メガバンクなどは相続センターへの電話やインターネットでの手続きできるところが多いです。
相続放棄を検討されている方は、絶対に故人の口座からお金を引き出さないように気を付けてください。単純承認とみなされ、借金を相続してしまう可能性もあります。
5. 遺言書の確認・検認
遺言書の有無によってその後の手続きが変わるため、遺言書の有無を確認する必要があります。遺言書は、一般的に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。
自筆証書遺言とは、故人が自筆で作成した遺言書です。故人が金庫で保管している場合や司法書士や税理士に託している場合もあります。また、現在は自筆証書遺言を法務局に保管する制度もありますので、法務局にも問い合わせしてみてください。
公正証書遺言とは、公証役場において公証人に作成してもらった遺言書です。公正証書遺言の有無は公証役場に問い合わせしてください。
自宅や専門家が保管していた自筆証書遺言は、家庭裁判所に提出して検認手続を行う必要がありますのでご注意ください。法務局に保管されていた自筆証書遺言と公正証書遺言の場合、検認は不要です。
6. 相続人の調査
遺言書の有無にかかわらず、相続人の調査・確定手続きが必要となります。
配偶者は必ず相続人となり、それ以外に生存している相続人の順位によって法定相続分は以下のように決まります。
第一順位:配偶者2分の1 子(死亡している場合は孫)2分の1
第二順位:配偶者3分の2 両親(共に死亡している場合は祖父母)3分の1
第三順位:配偶者4分の3 兄弟姉妹4分の1
相続人の調査にはまず被相続人の出生から死亡までの戸籍・戸籍の附票または住民票を取得する必要があります。
その後、相続人の現在の戸籍・戸籍の附票または住民票を収集する必要があります。
第一順位の子が相続人となる場合と比べ、第二順位の両親や第三順位の兄弟姉妹が相続人となる場合は多くの戸籍が必要となり、途中で戸籍の収集を断念する方がほとんどです。
7. 相続財産の調査
不動産・金融資産・自動車、それに借金なども含め相続される財産を特定し、財産額を確認するための調査を行います。特に債権や債務はしっかりと調査をしないと把握できない場合があり、注意が必要です。
相続財産を特定したら、すべての財産を相続する単純承認、すべての財産を相続しない相続放棄を選択することができます。
また、限定承認という相続財産がプラスの場合だけ相続する手続きもありますが、手続きが煩雑で長期間におよぶため利用される方はかなり少ないです。
プラスの財産よりもマイナスの財産が多いにも関わらず、うっかり単純承認して大きな負債を負ってしまう事例もありますので、正しく判断するためにも漏れなく徹底した調査が必要となります。
8. 遺産分割協議書の作成
相続人と相続財産を特定したら、相続人全員で遺産分割協議書を作成します。
もし、被相続人に生前認知した子がいた、孫と養子縁組していたなど、把握していなかった相続人がいた場合には、その子を含めずにした遺産分割協議は無効となってしまいますので、全員でやり直す必要があります。
9. 相続財産の承継手続き
①相続登記
故人が所有していた不動産の名義を相続人に変更することを相続登記と呼びます。
2024年4月より、自らが相続人になったことを知ってから3年以内に不動産の相続登記をすることが義務となりました。また、それ以前に発生した相続も2027年3月までに登記する必要があります。期間内に相続登記をしないと、10万円以下の過料の制裁を受ける可能性があるためご注意ください。
遠方の不動産を相続した場合は、原則としてその地の法務局に行く必要があります。
②金融資産の解約・名義変更
金融機関の相続手続きは、各社微妙に異なるため非常に煩雑な手続きとなります。
大手メガバンクでは、相続手続きの予約をするだけで1か月かかる場合もあり、相続手続きの中で最も煩雑で時間のかかる手続きです。
③自動車の名義変更
故人が所有していた自動車は相続手続きを行わなければ使用・売却することができません。
駐車場の管理会社に使用承諾書を請求、各地の警察署で車庫証明を取得した後に陸運支局で車検証を書き換える煩雑な手続きです。
10. 相続税の申告
遺産総額のうち【 3000万円+600万円×法定相続人の数 】までは控除され、相続税がかかりません。
例えば、配偶者と子の2人が相続人である場合は、亡くなった方の遺産総額が4200万円以内であれば相続税はかかりません。
相続税の申告が必要な場合は、お早めに税理士に相談することをおすすめします。
このように相続手続きは煩雑です。
ご自分で挑戦しても、最終的にはあきらめて専門家に依頼する方も少なくありません。その場合、時間もお金も無駄になってしまいますので、よっぽどご自分で手続きを経験したいというケースでなければ我々専門家に依頼することをおすすめします。
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