経営・管理ビザとは?

「経営・管理ビザ」は、外国人が日本国内で事業を経営したり、管理職として事業運営に携わるために必要な在留資格です。
以前は「投資・経営ビザ」と呼ばれ、外国の投資があることが前提になっていましたが、日本国内での起業が促進されるにつれ、国内資本での事業にも適用可能となりました。
この在留資格では、以下のような活動が可能となります。

💡 自ら会社を設立して経営する
💡 既存の会社に参加し、その経営に携わる
💡 経営に携わる管理職として事業運営に従事する(例:支店長、工場長)

日本国内で適法に営まれている事業であれば、業種や業態に制限はありません
例えば、貿易業やIT企業の設立、飲食店の経営などの事業運営を希望する方が対象となります。一方、単に日本で投資を行うだけの活動(例:不動産投資など)は対象外です。

経営管理ビザの取得要件

1. 事業所を日本国内に確保すること
日本国内で、以下の条件をクリアした事業所を確保する必要があります。

✔️ 明確に独立した事業所である
レンタルオフィスやシェアオフィスでも、独立したスペースが確保されていれば認められる場合があります。ただし、単なる共用スペースやバーチャルオフィスは認められません。
✔️ 法人名義で賃貸契約を行う
賃貸の場合、名義人が法人である必要があります。
個人名義で契約している場合は、法人名義へ変更する覚書を交わすなどの対応が必要となります。
✔️ 「事業」を目的とする
賃貸の場合、事業に使用する目的で契約を結ぶ必要があります。
使用目的が住居である場合には、事業目的であると貸主が承諾していることを明示する必要があります。
✔️ 設備をそろえる
電話、FAX、コピー機、パソコンなど、事業運営に必要な設備を備えることが求められます。
また、会社の看板・表札や、郵便受けに会社名が表示されているなど、外観から会社の存在が確認できなければなりません。

2. 資本金500万円以上、または2名以上の常勤職員の雇用
事業の規模が一定以上であることを示すため、下記のいずれかを満たす必要があります。

✔️ 資本金500万円以上
会社の資本金が500万円以上であることが求められます。必ずしも本人が出資する必要はありませんが、その場合、経営に関する学歴や実務経験がより厳しく審査されることになります。
また、本人が出資する場合、資金の出所を明示する必要があります。
具体的には、給与明細や銀行口座の取引履歴、借用書、海外送金の証明書などで、資金の形成過程を示す必要があります。
✔️ 2名以上の常勤職員の雇用
日本に居住している従業員を2名以上雇用することが求められます。従業員は日本人特別永住者永住者永住者の配偶者等定住者である必要があります。
✔️ 上2つと同じ規模であること
資本金500万円以上である、または2名以上の常勤職員の雇用している会社と同程度の事業規模である必要があります。例えば、常勤職員が1人勤務+250万円程度の費用を出資している、個人事業500万円以上の投資を行っている場合などが考えられます。

3. 事業の適正性・安定性・継続性を示す
申請者が経営しようとする事業が適正であり、収益を上げながら継続して運営できる見込みがあることを証明するため、次のような資料を準備します。

事業計画書
市場調査、競合分析、収支計画を含む具体的なビジネスプランを作成します。信頼性の高い事業計画書を作ることが大切です。
契約書類
取引先や顧客との契約書は、事業の実体を示す証拠となります。
会社設立後の財務資料
すでに事業を開始している場合、直近の財務諸表や売上報告書を提出します。
営業の許認可等
事業が適正性を持つかどうかは、日本の法令や許認可制度に基づいて判断されます。例えば、飲食店や不動産業などを営む場合、必要な許認可を取得することが求められます。

経営管理ビザ申請の流れ(新規)

1.事業計画の策定
 事業の安定性と持続性を示すため、事業の概要を計画書にまとめます。
2. 会社設立登記(1ヵ月ほど)
 次に、会社設立手続きに進みます。具体的な流れは以下の通りです。
 1)定款を作成し、公証役場で認証を受ける
 2)資本金を会社名義の口座に入金
 3)法務局で会社の登記手続きを行い、登記簿謄本を取得する
3. 税務署へ各種届出を行う(2週間ほど)
 税務署へ各種届出を行います。税務署への届出の控えは大切に保管しておきましょう。
 (法人設立届、給与支払事務所等の開設届、源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書 など)
4.営業許可の申請(1カ月ほど)
 営業許可が必要な事業は、取得申請を行います。
 例えば、飲食店を経営する場合には飲食店営業許可が必要です。
5. 在留資格申請(準備に1カ月ほど)
 出入国在留管理局に必要書類を提出します。審査期間は通常1~3ヶ月程度です。
 この間に追加資料の提出が求められることもあります。
6. 審査(2~3ヵ月ほど)
 許可が下りると、在留資格認定証明書が発行されます。

経営管理ビザ申請の成功のポイント

経営管理ビザの申請を成功させるためには、要件を満たすことはもちろん、申請内容に説得力と正確性があることが求められます。以下では、特に注意すべきポイントを解説します。

1. 事業計画書の重要性
事業計画書は、申請の合否に直接影響を与える書類です。以下のポイントを押さえて作成しましょう。
✔️ 事業目的を明確にする
 事業が日本社会にどのように貢献できるのかを具体的に示します。また、なぜ外国人がこの事業を日本で行うのかということも根拠を入れて説明しましょう。
✔️ 市場分析を充実させる
 市場の規模や競合他社の状況、ターゲット顧客について具体的に記載します。信頼性のあるデータを引用することで説得力が増します。
✔️ 実現可能な収支計画を立てる
 初年度の売上や費用を予測し、月次決算書にまとめることで収益を上げる見込みがあることを示します。
中長期的な成長プランがあるとより評価が高まります。
✔️ 雇用計画の明確化
 従業員を何名採用し、どのような役割を担うのかを具体的に記載します。

2. 資本金の正当性を示す
資本金500万円以上は要件の一つですが、その資金の出所が不明確だと申請が不許可となるリスクがあります。
✔️ 出所の明確化
資金がどのように準備されたのかを証明する書類を揃えます。海外送金の場合は、送金履歴を付けます。
✔️ 見せ金はNG
見せ金(資金を一時的に用意して、直後に引き出す行為)は認められません。

3.専門家のサポートを活用する
経営管理ビザの申請は、専門性の高い手続きが求められます。行政書士などの専門家に依頼することで多くのメリットが得られます。
✔️ 書類作成の正確性
 積み重ねてきた経験により申請に適した書類の作成ができ、説得力が高まります。
✔️ 最新情報の取得
 2024年度の法改正を含め、最新の申請要件に対応したアドバイスを受けられます。
✔️ 時間の節約
 書類の準備や申請の手続きを代行してもらうことで、事業計画を練ることに集中できます。

2024年3月のガイドライン改正

2024年3月に経営管理ビザのガイドラインが改正され、大きな注目を集めました。
従来、日本で起業を目指す外国人にとって、経営管理ビザの取得には多くのハードルがありました。
特に「資本金500万円以上」や「独立した事業所の確保」といった要件は、準備段階の起業家にとって負担が大きいものでした。
そこで、政府は日本経済のさらなる活性化を目指し、外国人起業家の支援を目的とした規制緩和に踏み切りました。

①有償型新株予約権(J-KISS型)を資本金として認める
これまで、経営管理ビザを取得するためには「資本金500万円以上」、「日本に居住する2人以上の常勤職員の雇用」、またはそれと同等の事業規模が必要ですこのうち資本金の要件が、2024年3月以降は、有償型の新株予約権(J-KISS型)を活用することで満たせるようになりました。
J-KISS型新株予約権とは、スタートアップ企業が投資家から資金を調達する際に用いる手法で、株式を発行する代わりに将来株式に転換可能な権利を提供する仕組みです。これにより、外国人起業家は事業開始時に必要な資金を柔軟に調達できるようになります。

J-KISS型新株予約権が資本金と認められる条件
1.返済義務がないこと
2.将来的に株式に転換される権利であること
3.権利行使されなかった場合、払込金が資本金として計上されること

この改正により、資本金を一括で準備することが難しい起業家でも、外部からの投資を受けながら日本での事業を開始できるようになりました。

➁2024年度中に予定されている要件緩和
さらに、2024年度中には、大学の研究室の一部を事業拠点とすることが認められるケースや、少額の自己資金で起業できる環境を整えるための緩和策を導入することが予定されています。

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