親が亡くなった後、相続手続きを始める前にまず行うべきなのが「財産調査」です。
しかし、不動産・預貯金・借金・株式など、どこにどのような財産があるのか、すぐに分かるケースばかりではありません。不動産が複数ある場合や、複数の金融機関に口座があるケースも少なくなく、調査には専門的な知識や書類の収集が必要です。
この記事では、足立区で親の財産を調べる方法や、どこで何を申請すればよいか、必要書類とあわせて分かりやすく解説します。

1.財産調査は必要?

相続手続きの最初のステップは財産調査です。被相続人の家や土地、預貯金、有価証券、さらには借金など、プラスの財産もマイナスの財産もすべて調べて、相続財産の額を確定する必要があります。
それでないと、遺産分割に進むことができません。
特に、ネット銀行の口座や他区の不動産、加入していた保険などは、見落とされがちです。また、借金があった場合、それも相続の対象となるため、知らずに相続してしまうリスクを避けるためにも、丁寧な調査が欠かせません。

2.不動産の調査方法(足立区内の家・土地)

足立区内にある家や土地などの不動産を調べる方法をご紹介します。
なお、足立区以外に不動産がある可能性がある場合は、その所在地の自治体でも同様の方法で調査する必要があります。

2-1.固定資産税納税通知書の確認

不動産調査で、最も手軽な手がかりとなるのが「固定資産税納税通知書」です。
これは毎年6月ごろに、土地や建物を所有している人のもとへ郵送されます。通知書には、所在地・地番・面積・評価額などが記載されており、どんな不動産を持っていたかを把握するうえで非常に役立ちます。
ただし、評価額が低く固定資産税の課税対象外となっている不動産は、この通知書に載らない場合があります。
また、通知書が見つからない場合でも、足立都税事務所で「名寄帳(なよせちょう)」という書類を取得すれば、足立区内で被相続人が所有していたすべての不動産が一覧で確認できます

2-2.登記事項証明書を取得して、名義を確認する

固定資産税の情報だけでは、不動産の名義や共有関係、抵当権などの有無まではわかりません。
そこで必要となるのが「登記事項証明書(登記簿謄本)」です。これを見れば、不動産の所有者や持分、権利関係の詳細まで確認できます。
登記事項証明書は、不動産の所在地を管轄する法務局で取得します。足立区の不動産であれば、「東京法務局 城北出張所」が担当窓口です。申請は、窓口のほか郵送やオンライン(登記情報提供サービス)でも可能です。

3.預貯金の調査方法

まずは、被相続人の帳やキッシュカードを探しましょう。
足立区にお住まいの場合には、足立成和信用金庫に口座を持っているケースが多いです。
金融機関から届いた郵便物や通知書も手がかりになることがあります。定期的な取引明細や口座残高のお知らせなどが届いていないか、遺品や書類の中を丁寧に確認してみましょう。
最近では、ネットバンキング家計簿アプリを使って、複数の口座をまとめて管理している方も増えています。可能であれば、故人のスマートフォンやパソコンの中も確認し、資産に関する情報がないか探してみてください。
また、各金融機関に直接照会をすることで口座の有無を調べることも可能です。
被相続人が取引していた可能性のある銀行に問い合わせ、口座の有無や残高証明書の発行を依頼します。足立区内に支店がある銀行であれば、最寄りの窓口で対応してもらえることが多いです。
こうした手続きには時間がかかることもあるため、早めに行動することをおすすめします。

4.借金やローンの調査方法

相続するのはプラスの財産だけではありません。借金やローンなどの「マイナスの財産」も引き継がれる可能性があるため、債務の確認も重要です。
まずは、自宅に借用書や返済予定表、消費者金融からの通知などがないかを探してみましょう。
また、未納の税金や健康保険料がある場合もありますので、請求書や支払い通知が届いていないかをチェックし、管轄の役所に問い合わせてみてください。
通帳の履歴に「借入」や「返済」の記録がある場合、それが手がかりになることもあります。
また、奨学金や教育ローンなども相続の対象になるため、残高の確認が必要です。
もし借入先が全く分からない場合は、信用情報機関に対して情報開示の請求をする方法もあります。具体的には、以下の3機関に対し、所定の申請書・本人確認資料・手数料を提出して照会します。

全国銀行個人信用情報センター(KSC)
株式会社日本信用情報機構(JICC)
株式会社シー・アイ・シー(CIC)

5.その他の財産調査(株式・保険など)

被相続人が株式や投資信託などの金融商品を保有していた可能性がある場合は、証券会社に対して調査を行います。まずは、自宅にある取引報告書や郵送物パソコンやスマホの取引履歴を確認し、取引していた証券会社を特定しましょう。
証券会社が分かったら、各社の相続専用窓口に問い合わせてください。
生命保険についても同様に、保険証券や通帳の引き落とし履歴などを確認して、加入していた保険会社を特定します。
契約内容によっては死亡保険金が支払われることがあり、これは原則として相続財産には含まれませんが、相続税の対象になる場合もあります。

6.調査が終わったら「財産目録」を作成しよう

相続財産の内容と金額が明らかになったら、次のステップとして「財産目録」を作りましょう。
財産目録とは、遺産を一覧表のように整理したもので、相続税の申告の際に必要になるほか、遺産分割協議を円滑に進めるためにも大いに役立ちます。
作成にあたって、特に決まった書式はありませんが、以下の2つのポイントを押さえておくと安心です。

・相続財産が正確に特定できるように記載すること
 (例:不動産なら所在地・地番、預金なら金融機関名と支店名など)
・評価額の根拠を記載、または資料を添付すること
 (例:不動産の評価額なら固定資産評価証明書、預金なら残高証明書など)

裁判所のホームページで、財産目録のテンプレート(エクセルファイル)がダウンロードできますので、活用してみてください。

7.財産調査を依頼した方が良いケース

前章を読んでいただいて分かる通り、相続財産の調査は意外に労力のかかる作業です。
時間と手間がかかるだけでなく、専門的な知識がないと漏れや誤りが発生するリスクもあります。特に下記のケースにあてはまる場合はプロの力に頼ることをおすすめします。

・遠方に不動産があり、正確な場所もわかっていない
・相続人同士の関係が複雑で協議が進まない場合
・平日、役所や銀行の手続きをするための時間を確保できない
・相続放棄(3ヶ月以内)まで時間的に余裕がない

こうした状況に該当する場合には、専門家に相談することで負担を大幅に軽減できます。

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