
遺留分(いりゅうぶん)は、遺言書の作成や遺産分割の場面で考えなければならない重要な制度です。しかし、「誰にどれくらい認められるの?」と悩まれる方も少なくありません。遺留分の計算は、複雑ではありますが、ルールを理解することは可能です。この記事では、遺留分の割合や簡単な計算方法を、司法書士が具体的なケースを交えながら分かりやすく解説します。
1.遺留分とはどのようなもの?
遺留分は、民法によって一部の相続人に保障された「遺産の最低限の取り分」のことです。
たとえば、亡くなった人が遺言に「全財産を、お世話になった友人に遺贈する」と書いていたとしても、遺留分が認められる相続人は、ある一定の範囲まで遺産を取り戻すことができます。
この制度は、被相続人が自由に財産を処分する権利と、残された家族の生活を守る仕組みとのバランスを図るために設けられています。
2.遺留分が認められる人

遺留分が認められる相続人は、以下のとおり法律で定められています。
遺留分あり:夫・妻(配偶者)、子・孫(直系卑属)、父母・祖父母(直系尊属)
遺留分なし:兄弟姉妹・甥姪
同じ相続人でも、兄弟姉妹には遺留分が認められていない点が大きな特徴です。
3.遺留分はいくら?3ステップで計算
① 対象となる、相続財産の額を計算する
財産の額=相続開始時の財産+贈与した財産-債務
まず、「遺留分の計算のもとになる財産額」を正しく把握します。
亡くなった人が相続開始時点で持っていた財産だけでなく、生前に贈与した財産や、借金(債務)も含めて計算する必要があります。
※詳しい計算方法については、下記の記事をご覧ください。
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② 遺留分の全体額を計算する
全体の遺留分=①の財産額×遺留分【全体】の割合
次に「相続人の全員分を合わせた、全体の遺留分の額」を求めます。
①で出した相続財産に、全体の遺留分の割合をかけて、遺留分全体の総額を出します。家族構成によって遺留分の割合は下記の2パターンに分かれています。(民法1042条)
全体の遺留分の割合
① 父母・祖父母のみが相続人→1/3
② 上記以外の場合→1/2
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③ 相続人ごとの遺留分を計算する
個別の遺留分=②全体の遺留分×法定相続分
全体の遺留分が出たら、そこに法定相続分をかけることで、各相続人が実際に持つ遺留分の額を計算できます。法定相続分は、家族構成によって異なるため注意しましょう。
これで遺留分の計算は完了です、お疲れ様でした。
4.ケースごとに見る遺留分の割合
4-1.相続人:妻のみ
全体の遺留分の割合は1/2 です。相続人が配偶者1人だけの場合、全体の遺留分である 1/2 がそのまま妻(配偶者)の遺留分になります。
| 法定相続分 | 遺留分 | |
|---|---|---|
| 妻 | 1/1 | 1/2 |
4-2.相続人:子供のみ(2人)
全体の遺留分の割合は1/2 です。それを、法定相続分(各1/2)で分けます。
▸子Aの遺留分=(全体の遺留分1/2)×(法定相続分1/2)
| 法定相続分 | 遺留分 | |
|---|---|---|
| 子A | 1/2 | 1/4 |
| 子B | 1/2 | 1/4 |
4-2.相続人:妻と子2人
全体の遺留分の割合は1/2です。それを、法定相続分で分けます。
▸子Aの遺留分=(全体の遺留分1/2)×(法定相続分1/4)
| 法定相続分 | 遺留分 | |
|---|---|---|
| 妻 | 1/2 | 1/4 |
| 子A | 1/4 | 1/8 |
| 子B | 1/4 | 1/8 |
4-3.相続人:妻と兄
全体の遺留分の割合は1/2 です。兄弟姉妹には遺留分がないため、全体の遺留分である 1/2 がそのまま妻(配偶者)の遺留分 になります。
▸妻の遺留分=(全体の遺留分1/2)
※全体の遺留分1/2に、法定相続分3/4をかけた、3/8ではありません。
| 法定相続分 | 遺留分 | |
|---|---|---|
| 妻 | 3/4 | 1/2 |
| 兄 | 1/4 | × |
4-4.相続人:兄弟のみ
兄弟姉妹には遺留分が認められていないため、遺留分はありません。
| 法定相続分 | 遺留分 | |
|---|---|---|
| 兄 | 1/2 | × |
| 弟 | 1/2 | × |
5.相続でお悩みなら司法書士・行政書士へ
遺留分は、家族構成や財産額、過去の贈与の有無によって金額が変わるため、正確に計算するには専門的な知識が必要です。
専門家であれば、遺留分の計算や相続手続きについて相談を受け、状況に応じた最適な方法を提案できます。ご自身の遺留分を知りたい方、遺言の内容に不安がある方、家族間のトラブルを避けたい方は、北千住のゆかり法務事務所の無料相談をご活用ください。足立区・葛飾区エリアの相続・遺言に強い司法書士が丁寧に対応いたします。
「相続の手続きがわからない」「遺言書を準備しておきたい」「生前対策を教えてほしい」など、当事務所には、さまざまなお悩みを抱えた方がいらっしゃいます。皆さまにとって難しい法律のことが、少しでもわかりやすいように、どのような相談にも「丁寧でわかりやすい説明」を心掛けています。
どうぞ、お気軽にご相談ください。
司法書士 劉 洋


6.よくある質問
Q. 遺留分に足りる遺産をもらえなかった場合、どうすればいいですか
A. 遺留分侵害額請求を行うことで、不足分の金銭を請求できます。(昔の遺留分減殺請求)
まずは遺留分の金額を計算し、どれだけ不足しているかを明らかにして、相手方に通知します。話し合いで解決できない場合は、調停や訴訟を利用することも可能です。
Q. 遺留分侵害額請求の期限はありますか?
A. はい。相続開始と遺留分を侵害されたことを知ってから1年以内という期限があります。また、相続開始後10年が経過した場合、相続があったこと自体を知らなくても、請求できなくなってしまいます。
Q. 遺留分は放棄できますか?
A. 遺留分は生前でも放棄できますが、家庭裁判所の許可が必要です。手続きには審査があるため、事前に専門家へ相談することをおすすめします。
Q. 代襲相続人に遺留分はありますか?
A. はい、あります。例えば、遺留分のある息子が亡くなっていて、孫が代襲相続する場合、孫も遺留分を持ちます。
もっとも、兄弟姉妹には遺留分がないため、それを代襲した甥、姪には遺留分はありません。




