
相続登記に必要となる費用の種類、いま利用できる免税制度、そして実際にどれくらいの費用がかかるのかを具体的なシミュレーションを交えてわかりやすく解説します。
「家を相続したけど、登記にいくらかかるか不安」という方はぜひご覧ください。
1.相続登記にかかる費用は3種類
(1)書類の取得費用
(2)登録免許税
(3)司法書士への報酬
必要となる費用は、大きく分けて3つです。
(1)と(2)は自分で手続きを行っても必ず発生する費用です。不動産の数や評価額、相続人の数によって大きく変わります。また、自分で手続きを行う場合(3)の司法書士報酬は不要です。しかし、相続登記は専門性が高くケースにより大きく異なるため、専門家へ依頼するケースが一般的です。
2.書類の取得費用とは?
2-1.相続登記には次の書類が必要
➀ 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
② 被相続人の戸籍の附票・住民票の除票
③ 相続人全員の戸籍謄本
④ 相続人の戸籍の附票・住民票
⑤ 相続人の印鑑証明書
⑥ 不動産の固定資産税納税通知書、名寄帳など
まず、被相続人(亡くなった方)と相続人全員の関係を証明する戸籍が必要です。
特に被相続人の戸籍は「出生から死亡まで全て」のつながりが必要で、転籍が多い方だと、1通750円前後の古い戸籍を10通以上取得しなければならないケースもあります。
また、遺産分割協議書を作る場合は、相続人全員分の印鑑証明書が必要です。
これらの書類は取得先が異なるため、手数料や交通費だけで1万円を超えることも珍しくありません。事前に必要書類を整理し、郵送請求・オンライン申請・コンビニ交付サービスを上手に活用すると、手間と費用を大幅に抑えられます。
2-2.書類ごとの手数料の目安
| 手数料/1通 | |
|---|---|
| 戸籍謄本 | 350~450円 |
| 除籍謄本 | 750円 |
| 改製原戸籍 | 750円 |
| 戸籍の附票 | 200~300円 |
| 住民票 | 200~300円程度 |
| 印鑑証明書 | 200~300円程度 |
| 固定資産評価証明書 | 200~400円程度 |
| 不動産登記簿 | 490~600円 |
※自治体により手数料は異なります。
3.国に納める「登録免許税」
3-1.基本は「評価額 × 0.4%」
登録免許税とは、登記の申請時に法務局へ納める税金であり、相続税とは全く別のものです。
相続した家や土地の評価額を基準に計算されるため、評価額が高いほど税額も高くなります。評価額は固定資産税納税通知書の課税明細などで確認できます。基本となる計算式は、次のとおりです。
▶登録免許税 =固定資産税評価額×0.4%
例えば、評価額3,000万円の土地を相続した場合、登録免許税は12万円となります
3-2.2025年現在の免税措置
2025年現在、土地については以下のケースに該当する場合、登録免許税が免税となる特例が設けられています。この措置は 2027年3月31日まで の期限付きです。
免税を受けるためには、「租税特別措置法第84条の2の3第〇項により非課税」と根拠条項を必ず記載しなければなりません。記載がない場合、免税されないため注意しましょう。
▼免税となるケース
・相続した土地の登記をしないまま、死亡したケース(数次相続)
(租税特別措置法第84条の2の3第1項)
・評価額が100万円以下の土地を相続した場合
(租税特別措置法第84条の2の3第2項)
なお、建物は上記特例の対象外となり、原則どおり0.4%の税率が適用されます。
4.司法書士への報酬
司法書士へ依頼する場合、一般的な報酬は5万円〜10万円程度が目安です。
不動産の数が多い場合や、相続関係が複雑なケースでは、これより高くなることがあります。
相続登記は、戸籍の正確な読み取りや相続関係の整理、遺産分割の内容確認など、専門知識が不可欠な手続きです。そのため、自力で正確に行うのは難しいのが実情です。
「自分で手続きすれば報酬はかからない」というメリットはありますが、その場合法務局から何度も補正(やり直し)を求められるケースが非常に多いため、専門家に依頼する方が安心です。
5.費用のシミュレーション
実際に相続登記をするのにどれくらいの費用がかかるのか、具体的な数字でシミュレーションしてみます。
<想定ケース>
・土地(1,000万円)+建物(800万円)
・相続人:2人
・不動産は 1人が相続する
・遺産分割協議書を作成する
| 戸籍(被相続人) | 450円×1通+750円×5通=4,200円 |
| 戸籍の附票(被相続人) | 300円 |
| 戸籍 | 450円×2通=900円 |
| 住民票 | 300円 |
| 印鑑証明書 | 300円×2通=600円 |
| 登録免許税 | 1,800万円×0.4%=7万2千円 |
| 司法書士への報酬 | 10万円 |
| 実費(郵送費など) | 5千円 |
| 合計 | 18万3300円 |
あくまでも一例であり、費用は状況によって変動します。正確な費用を知りたい場合は、司法書士へ相談し、見積もりを出してもらうのがおすすめです。
6.相続登記は専門家へ依頼しよう
相続登記は、一見シンプルに見えても、実際には専門的な判断が必要となる手続きです。特に「被相続人の戸籍が読めない」「不動産が複数ある」といった場合、自力で進めるのは非常に難しく、手続きが長期化する原因にもなります。
さらに、2024年から相続登記が義務化され、相続から3年以内に登記をしないと過料(罰金)の対象になる可能性も。
司法書士に依頼すれば、書類集めから登記申請までまとめて任せることができます。相続登記に不安がある方は、北千住のゆかり法務事務所の無料相談をご利用ください。足立区・葛飾区の相続に強い司法書士が丁寧に対応いたします。
「相続の手続きがわからない」「遺言書を準備しておきたい」「生前対策を教えてほしい」など、当事務所には、さまざまなお悩みを抱えた方がいらっしゃいます。皆さまにとって難しい法律のことが、少しでもわかりやすいように、どのような相談にも「丁寧でわかりやすい説明」を心掛けています。
どうぞ、お気軽にご相談ください。
司法書士 劉 洋


7.よくある質問
Q. 自分で相続登記を行うことはできますか?
A. はい、自分で登記することができます。その分節約できますが、戸籍の読み取りや書面の作成、法務局からの補正対応など、相応の知識と労力が求められます。不安がある場合は、専門家に依頼するほうが安全です。
Q. 相続登記の期限はありますか?
A. 2024年4月から、相続登記は「相続発生から3年以内の申請」が義務化されています。期限を過ぎると最大10万円の過料(罰金)を科される場合があります。登記を放置すると書類の収集が難しくなるため、早めの着手がトラブル防止のポイントです。
Q. 登録免許税は分割払いできますか?
A. いいえ、登録免許税は登記申請時に一括で納付する必要があります。法務局で収入印紙を購入し、申請書に貼付して納付するのが一般的です。
Q. 必要書類が揃わない場合はどうすれば良い?
A. 事情によっては、代わりの資料で補うことができます。「相続人の所在が不明」「戸籍が途切れている」といった場合、不在者の財産管理人の申し立て(家庭裁判所での手続き)や「滅失証明書」などで対応します。困った場合はご相談ください。
Q. 費用を少しでも抑える方法はありますか?
A. 自分で書類を集め、登記を申請することで費用を抑えられます。また、コンビニ交付サービスや郵送請求を利用することで節約できます。ただしトラブルが起こりやすいため、登記申請だけでも司法書士に依頼することをおすすめします。



